天道遠く人道邇し
読み方:てんどう は とおく じんどう は ちかし
意味
天の運行や天意のような遠く不確かな事柄は、人には容易に知り得ない。それに対し、人として守るべき道理や現実の人事は身近であり、まずは自分たちが行うべきことを大切にすべきだ、という意味。遠い天命を詮索するより、目の前の人の道を尽くすことをいう。
由来
中国の歴史書・古典である春秋左氏伝の「昭公十八年」に見える、鄭の政治家・子産の言葉「天道遠、人道邇」に由来する。春秋時代、紀元前524年ごろの発言として伝わる。日本では漢文訓読により「天道遠く人道邇し」として定着した。
備考
「邇」は「近」の異体・旧字体的な字で、現在は「天道遠く人道近し」とも書く。天道は天の理・自然の運行、人道は人としての道理や人間社会の事柄を指す。日常会話より文章語・教訓的な文脈で用いられる。
別表記
- 天道遠く人道近し
誤用・混同注意
- 「人道」を現代語の「人道支援」や「人権」の意味だけで解するのは不正確で、ここでは人として守るべき道理・人の世の事柄をいう。
- 天道を空までの距離、人道を物理的に近い道という意味で解するのは誤り。
例文
- 災害をただ天罰だと論じても始まらない。天道遠く人道邇しで、まず避難体制を整えるべきだ。
- 景気の行方を運任せにするのではなく、社員への説明と資金管理を徹底しよう。天道遠く人道邇し、今できる人事を尽くすことが大切だ。
- 彼は将来の不安ばかりを語っていたが、先輩は「天道遠く人道邇しだ。まず今日の約束を守りなさい」と諭した。