坊主の子沢山
読み方:ぼうず の こだくさん
意味
本来は妻帯したり子を持ったりしないと考えられていた僧侶にも、実際には妻子が多いことを皮肉った言葉。転じて、規範や教えを守るべき立場の人が、自分ではそれに反する行いをしているという矛盾や偽善をからかっていう。
由来
正確な成立時期や初出は未詳である。僧侶には戒律上、妻帯や性的関係を慎むべきだという観念がある一方、江戸時代(17~19世紀)には妻子を持つ僧侶や、妻帯を認める宗派も存在した社会事情を背景に生まれたとされる。尾張いろはかるたの「ほ」の札としても知られる。なお明治5年(1872年)には、僧侶の肉食・妻帯・蓄髪を禁制としない政府方針が示された。
備考
現代では多くの仏教宗派で僧侶の結婚や子育てが行われているため、僧侶一般をからかう表現としては配慮が必要。主に歴史的・皮肉的な文脈で用いる。
別表記
- 坊主の子だくさん
- 法師の子沢山
誤用・混同注意
- 現代の僧侶はすべて本来妻帯を禁じられている、と一律に理解するのは不正確。宗派や時代により事情が異なる。
- 子どもの多い家庭や寺を単にほめる言葉として使うのは、本来の皮肉・揶揄の意味を取り違えやすい。
例文
- 江戸時代には、戒律を守らず妻子を持つ僧を皮肉って、「坊主の子沢山」と言った。
- 寺の跡取りが何人もいる家を見て、祖父は「坊主の子沢山という言葉もある」と苦笑した。
- 規則を厳しく説く人が自分では規則を破っているので、彼は坊主の子沢山だと陰で評された。