和して同ぜず
読み方:わして どうぜず
意味
他者と仲良く協力し、調和を保ちながらも、意見や信念まで無批判に同じにしてしまわないこと。君子は周囲に合わせるだけでなく、自分の正しいと考える立場を持つべきだという教え。
由来
中国の古典『論語』の「子路」篇にある孔子の言葉「君子和而不同、小人同而不和」に由来する。『論語』は孔子の没後、紀元前4~3世紀ごろまでに弟子たちによって編纂されたとされる。「和して同ぜず」は前半を日本語の訓読として定着させた表現である。
備考
単なる「反対」や「孤立」を勧める言葉ではない。まず他者と調和しようと努めたうえで、誤りだと思うことには安易に同調しない態度をいう。対句の後半は「小人は同じて和せず」。
別表記
- 君子は和して同ぜず
- 和して同ぜず、同じて和せず
誤用・混同注意
- 「周囲と協調しないで、自分の意見だけを押し通す」という意味に解するのは誤り。調和を保ちつつ、無批判な同調をしないという意味である。
- 「和」は単なる仲よしや妥協、「同」は意見の一致とだけ機械的に捉えるのは不十分。ここでは、多様性を保つ調和と、主体性を失った同調との対比である。
例文
- 会議では、和して同ぜずの姿勢で、皆の意見を尊重しながらも問題点を指摘した。
- 上司に迎合するのではなく、和して同ぜずを心がけて自分の考えを伝えるべきだ。
- 異なる文化を持つ人々が共に暮らす社会には、和して同ぜずという考え方が大切だ。
分類
類義語
- 和而不同
- 君子は和して同ぜず
- 協調しつつ主体性を保つ
対義語
対比・対照ことわざ
- 同じて和せず
- 付和雷同