俎の上の鯉
読み方:まないた の うえ の こい
意味
逃げたり抵抗したりする手段がなく、相手や運命のなすがままになるほかない状態のたとえ。料理されるためにまな板へ載せられた鯉が、自力では逃れられないことにたとえる。観念して相手に身を任せる、というニュアンスでも用いる。
由来
料理のために俎(まないた)へ載せられた鯉は逃げ場がなく、料理人の手に任せるしかないという情景から生まれた日本のたとえである。「俎板の鯉」「まな板の鯉」ともいう。正確な成立時期・初出は不詳だが、尾張いろはかるたの「ま」の札としても知られる。
備考
「俎」はこの句では通常「まないた」と読む。「俎上に載せる」が「議題・検討の対象にする」の意で使われるのとは区別する。日常会話では「まな板の鯉」の形が一般的。
別表記
- 俎板の鯉
- 俎板の上の鯉
- まな板の鯉
- まな板の上の鯉
- 俎の鯉
誤用・混同注意
- 「俎上に載せる」と同じく、単に議論や検討の対象になる意味だと解するのは誤り。本句は、逃げ場がなく相手のなすがままになる状態を表す。
- 「俎」を「そ」と読んで「そのうえのこい」と読むのは不自然。この句では「まないたのうえのこい」と読む。
例文
- 不正の証拠をすべて押さえられた以上、彼は俎の上の鯉で、会社の処分を待つしかなかった。
- 交渉の主導権を完全に失った小さな会社は、相手企業の条件を受け入れる俎の上の鯉となった。
- 手術を受けると決めた私は、医師を信頼し、俎の上の鯉になる覚悟で手術室へ入った。
分類
類義語
- 俎上の魚
- 網にかかった魚
- 袋の鼠
- 絶体絶命