人の目の塵を見て己の目の梁を見ず
読み方:ひと の め の ちり を みて おのれ の め の はり を みず
意味
他人の小さな欠点や過ちにはよく気づいて批判するのに、自分にはそれよりはるかに大きな欠点や過ちがあることに気づかない、という意味。人を責める前に、まず自分自身を反省すべきだという戒めである。
由来
新約聖書の「マタイによる福音書」第7章3節にあるイエスの教えに由来する。紀元1世紀後半(およそ80~90年頃)に成立したとされる福音書の、「兄弟の目にあるちりは見えるのに、自分の目にある梁には気づかないのか」という趣旨が、日本語のことわざとして定着したもの。
備考
「塵」は小さな欠点、「梁」は家を支える大きな横木で、大きな欠点の比喩。「梁」は「りょう」ではなく、この句では通常「はり」と読む。宗教的文脈以外でも自己反省を促す表現として用いる。
別表記
- 人の目のちりを見て己の目の梁を見ず
- 人の目の塵を見ておのれの目の梁を見ず
- 他人の目の塵を見て己の目の梁を見ず
誤用・混同注意
- 「塵」を大きな欠点、「梁」を小さな欠点と逆に解釈するのは誤り。塵は小さな欠点、梁は自分のより重大な欠点を表す。
- 「梁」を「りょう」と読むのは不適切。このことわざでは通常「はり」と読む。
- 単に『他人を批判してはいけない』という意味に限定するのは不十分で、自分の欠点を顧みないまま他人を責める態度への戒めである。
例文
- 部下の書類の誤字ばかり責めているが、自分の確認漏れで納期を遅らせているのでは、人の目の塵を見て己の目の梁を見ずだ。
- 相手の失言を非難する前に、自分にも同じような言動がなかったか振り返ろう。人の目の塵を見て己の目の梁を見ず、になりかねない。
- 評論家が他社の不正だけを厳しく追及し、自社の問題には触れない姿勢は、まさに人の目の塵を見て己の目の梁を見ずである。
分類
類義語
- 目くそ鼻くそを笑う
- 己の頭の蠅を追え
対義語
対比・対照ことわざ
- 人の振り見て我が振り直せ
- 己を知る