一樹の蔭一河の流れも他生の縁
読み方:いちじゅ の かげ いちが の ながれ も たしょう の えん
意味
一つの木陰に宿ることや同じ川の流れに接することのような、ささいな出会い・関わりでさえ、前世からの因縁によるものだという意味。偶然の巡り合わせや人との縁を大切にしようという気持ちを表す。
由来
仏教の因縁・輪廻思想を背景とすることば。13世紀初頭に成立したとされる平家物語の灌頂巻に、「一樹の陰に宿り、一河の流れを汲むも、皆これ他生の縁」とあることに基づく。ごく小さな接点にも、過去世から続く縁があると考える表現である。
備考
「他生」は現世以外の生、特に前世をいう仏教語で、「たしょう」と読む。現代では、偶然の出会いを大切にする文脈で、やや雅な表現として用いられる。
別表記
- 一樹の陰一河の流れも他生の縁
- 一樹の陰に宿り一河の流れを汲むも他生の縁
誤用・混同注意
- 「他生」を「たせい」と読むのは誤りで、標準的な読みは「たしょう」。
- 「他生」を単に来世だけの意味と捉えるのは不十分で、ここでは前世など現世以前からの因縁をいう。
- すべての出会いが文字どおり前世で決定されていると断定する表現ではなく、縁の不思議さや大切さをいうことばである。
例文
- 旅先で偶然相席になった二人が親友になった。まさに一樹の蔭一河の流れも他生の縁だ。
- 小さな交流会で出会った人たちとの縁を、一樹の蔭一河の流れも他生の縁と思って大切にしている。
- 同じ電車で隣り合わせたことをきっかけに仕事が決まり、「一樹の蔭一河の流れも他生の縁ですね」と笑い合った。