一悪を以てその善を忘るることなかれ
読み方:いちあく を もって そのぜん を わするる こと なかれ
意味
一つの悪い行いや欠点があったからといって、その人がこれまで行ってきた善い行いや長所まですべて忘れたり、否定したりしてはならない、という戒め。人や物事を一面的に判断せず、功績と過失の両方を公平に見るべきだという意味。
由来
中国の古典『貞観政要(じょうがんせいよう)』に由来するとされる。『貞観政要』は唐の太宗の政治や言行をまとめた書で、呉兢(ごきょう)によって8世紀初め(およそ710年頃)に編まれた。原形には「一悪を以て其の善を忘るることなかれ。一善を以て其の悪を忘るることなかれ」と、善悪の一方だけで人物を判断しない趣旨の対句として伝わる。
備考
文語的で改まった表現。「以て」は現代語では「もって」、「忘るる」は「忘れる」に当たる。過失を無条件に許す意味ではなく、一つの欠点だけで全体を否定しないという公平な評価を求める言葉。
例文
- 長年会社に貢献してきた彼を、一度の失敗だけで見放すのは早い。一悪を以てその善を忘るることなかれ、だ。
- 友人の失言には注意が必要だが、一悪を以てその善を忘るることなかれというように、普段の誠実さも考慮しよう。
- 部下を評価するときは、一悪を以てその善を忘るることなかれの精神で、欠点だけでなく成果も公平に見るべきだ。
分類
類義語
- 瑕不掩瑜(かはゆをおおわず)
- 長所短所を併せて見る
対義語
- 一善を以てその悪を忘るることなかれ
- 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い