不垢不浄
読み方
ふく ふじょう意味
仏教語で、すべての存在は空であり、本質的には汚れているとも清らかであるとも定められない、という意味。単に「清潔でも不潔でもない」という状態ではなく、清浄・不浄という二分的な価値判断そのものを超えた境地を表す。由来
『般若心経』の「是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減」に由来する語。般若経系の思想はインド大乗仏教で紀元1〜5世紀頃に展開したとされる。日本で広く読誦される漢訳『摩訶般若波羅蜜多心経』は、唐の玄奘による7世紀半ば、649年頃の訳と伝えられるが、成立年代には諸説がある。備考
日常会話ではまれで、仏教・哲学・文学的文脈で用いられる。単なる中間状態ではなく、清浄/不浄の二分を超える含意がある。例文
- 『般若心経』の「不垢不浄」は、ものを清い汚いと決めつける心を問い直させる言葉だ。
- 住職は、煩悩さえも空の相から見れば不垢不浄であると説いた。
- 彼女は作品の中で、都市の廃墟を不垢不浄の存在として静かに描き出した。
- 利害や好き嫌いを離れ、不垢不浄の目でこの問題を見つめ直したい。
- その思想は、人間を善悪や清濁だけで裁かない不垢不浄の境地に近い。
類義語
- 浄穢不二
- 垢浄不二
- 諸法空相