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一水四見

読み方

いっすい しけん

意味

同じ一つの水でも、見る者の境遇・立場・心のあり方によってまったく違って見えるということ。仏教では、天人には宝石のように、人間には水として、餓鬼には膿血や火として、魚には住みかとして見えると説き、認識は対象そのものだけで決まらないことを表す。

由来

仏教、特に唯識思想で用いられるたとえに由来する。インド仏教の認識論が中国の仏典・論書を通じて伝わり、同一の水が衆生の業や心識に応じて異なって現れる例として説かれた。語そのものの初出年は不明だが、概念は唐代(7世紀頃)の唯識教学で広まり、日本では平安期以降の仏教教学で受容された。

備考

仏教語としての色彩が強く、日常会話ではやや硬い表現。単なる「意見の違い」より、認識が立場や心の状態に左右されるという含みがある。

例文

  • 同じ失敗でも、上司は成長の機会と見なし、本人は挫折と感じるのだから、まさに一水四見だ。
  • この絵を見て、ある人は希望を、別の人は孤独を読み取った。一水四見という言葉がよく当てはまる。
  • 制度改革への評価が部署ごとに割れるのは、一水四見で、それぞれの利害や経験が違うからだ。
  • 旅先の雨を不運と嘆く人もいれば、風情があると喜ぶ人もいる。一水四見の好例である。
  • 歴史上の人物の評価は時代や立場によって変わるため、一水四見を踏まえて資料を読む必要がある。

類義語

  • 一境四心
  • 十人十色
  • 見方次第
  • 境随心転
  • 唯識無境

対義語

  • 衆目一致
  • 異口同音
  • 同一見解

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