隻手音声
読み方
せきしゅ おんじょう意味
禅の公案で、「片手だけで打つ手の音はどんな音か」という問い。常識的・論理的には答えにくい矛盾した問いを通じて、二元的な考え方や言葉による理解を超えた悟りを促すもの。転じて、常識では解けない難問や、深い省察を要する問いを指すこともある。由来
江戸中期、臨済宗中興の祖とされる白隠慧鶴(はくいんえかく、1686〜1769)が修行者に示した公案「両手を打てば音がする。では片手の音を聞いてこい」に由来する。成立は18世紀ごろとされるが、表現の細部や初出文献については諸説があり、正確な成立年は不明。備考
日常会話ではまれで、禅・仏教・哲学の文脈で用いられることが多い。「片手の拍手の音」として英語圏でも有名。茶化して使うと軽薄に響く場合がある。例文
- 師は弟子に「隻手音声を聞け」と命じ、頭で考えるだけでは届かない境地を示した。
- この問題は単なるなぞなぞではなく、まるで隻手音声のように発想そのものを問い直させる。
- 会議で出された課題は、正解を一つに絞れない隻手音声めいた問いだった。
- 白隠の隻手音声は、禅問答の代表例として海外でもよく知られている。
- 彼は隻手音声の公案に取り組むうち、言葉で説明できる理解の限界を意識するようになった。
類義語
- 隻手の声
- 片手の音
- 公案禅
- 禅問答
- 不可思議
対義語
- 両手喝采
- 拍手喝采
- 明答直解