発迹顕本
読み方:ほっしゃく けんぽん
意味
仏・菩薩が衆生を導くために示した仮の姿・方便としての「迹(しゃく)」を開き、本来の身分・真実のあり方である「本」を明らかにすること。特に法華経の教えでは、釈尊がこの世で初めて成仏したという仮の示し方を開き、久遠の過去から成仏していたという本地を示すことをいう。
由来
根拠となる思想は、1〜2世紀ごろに成立したとされる法華経、とりわけ如来寿量品に説かれる「久遠実成」の教えである。本迹の区別は中国・隋代(6世紀末〜7世紀初頭)の天台教学で体系化された。日本では鎌倉時代(13世紀)の日蓮教学においても重要な概念となり、日蓮が竜の口の法難を機に本地を顕したという説明にも用いられる。
備考
日常会話で用いる語ではなく、主に天台・日蓮系などの仏教学、宗教史の文脈で使われる。「開権顕実」は方便の教えと真実の教えの関係をいう語であり、本迹の関係をいう本語とは区別される。
誤用・混同注意
- 「はっせきけんぽん」と読むのは誤りで、通常は「ほっしゃくけんぽん」と読む。
- 「開権顕実」と同義とするのは不正確である。発迹顕本は本地と垂迹の関係を中心とする。
- 「発跡顕本」と書かれることもあるが、本迹思想の専門用語としては「迹」を用いる表記が標準的である。
例文
- 法華経の本門は、釈尊が発迹顕本を示した教えとして解釈される。
- 講師は、発迹顕本とは仮の姿を捨てることではなく、その背後にある本来の真実を明らかにすることだと説明した。
- 日蓮系の教義では、竜の口の法難を日蓮の発迹顕本の契機として位置づけることがある。
分類
類義語
- 開迹顕本