甘棠遺愛
読み方:かんとう いあい
意味
地方の長官などが去った後も、その仁政・恩徳を土地の人々が深く慕い、忘れないこと。また、そのように後世まで伝えられる善政や遺徳をいう。
由来
周代の召公(召伯)が地方を巡って善政を行い、甘棠という木の下で訴訟などを裁いたという故事に基づく。召公の死後、人々はその徳を慕って、ゆかりの甘棠の木を切らなかったとされる。この話は古代中国の詩経「召南・甘棠」にうたわれ、のちに史記にも記された。故事の時期は伝承上、西周初期(紀元前11世紀ごろ)とされるが、正確な年は不詳。
備考
主に、去任・死去した為政者や指導者の善政をたたえる、格調高い文章語である。日常的な個人間の愛情や恋愛感情には用いない。
誤用・混同注意
- 「甘唐遺愛」と書くのは誤りで、正しくは「甘棠遺愛」。「棠」は「唐」ではない。
- 単なる故人への愛情や恋愛感情を指す語ではなく、為政者などの仁政・恩徳を人々が慕う意である。
例文
- 退任した知事が残した福祉制度は、今なお県民に甘棠遺愛として記憶されている。
- 住民は、長年にわたり公平に町を治めた町長の遺徳を、甘棠遺愛として語り継いだ。
- 碑文には、その領主の治世を甘棠遺愛とたたえる言葉が刻まれている。
分類
類義語
- 仁政
- 遺徳
- 甘棠之愛