狐鳴魚書
読み方:こめい ぎょしょ
意味
人々を信じ込ませて支持を集めるため、予言・怪異などを作り出して利用すること。また、そのようにして人心を扇動する策略をいう。狐の鳴き声と魚の腹から出た書き付けを利用した、中国古代の故事に基づく。
由来
中国・秦末の紀元前209年ごろ(秦二世元年)、陳勝・呉広が反乱を起こす際の故事に由来する。『史記』「陳渉世家」によれば、陳勝は「陳勝王」と朱書きした絹を魚の腹に入れ、兵士に発見させた。さらに呉広に夜の祠でたき火をさせ、狐の声をまねて「大楚興、陳勝王」と叫ばせた。兵士たちはこれを不思議な予兆として受け取り、反乱への気運が高まった。この「狐鳴」と「魚書」を合わせた語である。
備考
日常会話で用いることはまれで、主に中国史・故事成語の文脈で使う。怪異や流言を利用して人心を誘導する、という批判的な含みを持ちやすい。
誤用・混同注意
- 「孤鳴魚書」と書くのは誤りで、正しくは動物の狐を用いる「狐鳴魚書」。
- 狐や魚に関する自然現象を表す語ではなく、怪異を演出して人心を集める策略をいう。
例文
- 『史記』は、陳勝らが狐鳴魚書によって兵士の心を動かし、蜂起への気運を高めたと伝えている。
- 根拠のない予言を広めて支持を得ようとするその手法は、現代的な狐鳴魚書ともいえる。
- 授業では、狐鳴魚書を単なる迷信ではなく、反乱軍が民衆心理を利用した政治的策略として学んだ。
分類
類義語
- 魚腹丹書
- 篝火狐鳴