煩悩菩提
読み方:ぼんのう ぼだい
意味
仏教語。人を迷わせ苦しませる欲望や執着である「煩悩」と、悟り・真理の智慧である「菩提」は、本来まったく別のものではないとする考え。煩悩をただ排除するのではなく、それを見つめて悟りへ転じることができる、という大乗仏教の思想をいう。
由来
「煩悩」はサンスクリット語のクレーシャ(心を悩乱させるもの)、「菩提」はボーディ(悟り)の漢訳に由来する。大乗仏教で、迷いと悟りは本性において切り離せないと説く思想から生まれ、「煩悩即菩提」の略として用いられる。概念は古代インド仏教にさかのぼり、中国仏教を経て日本へ伝来したが、「煩悩菩提」という四字の正確な初出・定着時期は不詳。
備考
日常会話ではまれで、仏教思想・宗教哲学の文脈で用いる。「欲望のままに生きてもよい」という意味ではない。「煩悩即菩提」として使われることも多い。
補足
- 「煩悩菩提」は、煩悩を肯定して放縦に生きるという意味ではない。
- 「煩悩即菩提」と混同されやすいが、「煩悩菩提」はその思想を端的に表す四字熟語として用いられる。
例文
- 禅の老師は、煩悩菩提の教えを引き、怒りや欲望を無理に押し殺すだけでは十分ではないと説いた。
- 失敗して生じた嫉妬心も、煩悩菩提の観点から省みれば、自分を成長させる契機になりうる。
- 煩悩菩提とは、煩悩に流されてよいという意味ではなく、それを悟りへ転じる道を示す言葉である。
分類
類義語
- 煩悩即菩提
- 生死即涅槃
対義語
- 煩悩断滅
- 迷妄執着