無相無念
読み方:むそう むねん
意味
仏教、特に禅で、目に見える形や外的な対象(相)に執着せず、心に起こる思念・分別にもとらわれない境地をいう。単に何も考えないことではなく、思いが生じてもそれに固執しない自由な心のあり方を指す。
由来
中国禅宗の六祖・慧能(638~713)に結び付けられる『六祖壇経』の思想に基づく。「無相」はあらゆる形相への執着を離れること、「無念」は念を起こさないことではなく、念に染着しないことをいう。唐代(7~8世紀)に形成された禅の重要な概念で、「無相・無念」と並べて説かれた語が四字にまとまったもの。
備考
日常会話で使うことは少なく、主に仏教・禅の文脈で用いる。「無念」を単なる「悔しい」「残念」の意味で解釈しないことが重要。
補足
- 「無相無念」を、文字どおり「一切の考えがない状態」と解するのは不正確。禅では、念が起きても執着しないことをいう。
- 「無想無念」と混同しやすいが、無相無念の「相」は、対象の形相・表象などへの執着を離れるという意味を持つ。
例文
- 禅の修行では、無相無念の心で目の前の出来事を受け止めることが重んじられる。
- 師は、無相無念とは感情を失うことではなく、感情に支配されないことだと説いた。
- 彼は評価への執着を離れ、無相無念の境地で創作に向き合おうとした。
分類
類義語
- 無相無住
- 無念無想
対義語
- 有相有念