殺仏殺祖
読み方:せつぶつ せっそ
意味
仏や祖師(禅宗の先達)であっても、その権威や教えの言葉に執着してはならないという禅語。悟りを得るためには、外から与えられた権威・観念・固定的な教説への頼りを断ち、自ら直接に真理を体得すべきだ、という意味である。実際に仏像や人を傷つけることをいうのではない。
由来
中国・唐代(9世紀)の禅僧、臨済義玄の語録とされる「臨済録」に見える「逢仏殺仏、逢祖殺祖(仏に逢えば仏を殺し、祖に逢えば祖を殺す)」に由来する。臨済宗の、いかなる権威や教説にもとらわれない徹底した自己覚醒の姿勢を示す言葉である。なお、現存する「臨済録」は宋代以後に編纂・伝承された形である。
備考
禅宗の強い逆説表現であり、日常会話で軽々しく用いる語ではない。「殺す」は文字どおりの殺害ではなく、仏・祖師への観念的な執着を断つ意を表す。
誤用・混同注意
- 「仏や祖師を実際に否定・殺害する教え」という理解は誤り。権威や教説への執着を断つことをいう。
- 「さつぶつさっそ」と読むのは一般的ではない。標準的な読みは「せつぶつせっそ」。
例文
- 禅の師は、経典の文句を暗記するだけでは不十分であり、殺仏殺祖の精神で自ら確かめよと説いた。
- 彼は先例を無批判に受け入れず、殺仏殺祖ともいえる姿勢で研究の前提を問い直した。
- 殺仏殺祖は暴力を勧める言葉ではなく、権威への執着を捨てるという比喩的な禅語である。
分類
類義語
- 呵仏罵祖
- 逢仏殺仏・逢祖殺祖
対義語
- 尊仏敬祖
- 盲信崇拝