楚弓楚得
読み方:そきゅう そとく
意味
楚の国の人が失った弓を、同じ楚の国の別の人が拾うという意味から、自分が物や利益を失っても、同じ仲間・共同体の者が得るのであれば惜しむ必要はない、という考え方をいう。個人の損得よりも、仲間全体の利益を重んじる態度を表す。
由来
前漢の劉向が紀元前1世紀ごろに編んだ『説苑』の「至公」に見える故事に基づく。楚王が狩りの途中で弓を失い、家臣が探そうとしたところ、王は「楚の人が失い、楚の人が得るのだから、何を求める必要があるか」と言ったという。この「楚人失弓、楚人得之」という話が縮められて成立した。
備考
日常会話ではあまり使われない故事成語。自分の損失を同じ集団内の利益として受け止める意味で用いる。ただし、楚という枠に限定する見方は狭いとして、孔子が批評した話も伝わる。
誤用・混同注意
- 「得」を「徳」と書くのは誤り。
- 自分が失った物を自分で取り戻す意味ではなく、同じ仲間・共同体の者が得ることをいう。
- 「楚弓楚失」と混同されやすいが、これは同義の別表現である。
例文
- 自分の担当だった仕事でも、同じ部署の後輩が成功させたのなら楚弓楚得だと考え、彼は素直に祝福した。
- 地域の助成金を別の地元団体が受け取ることになったが、住民のために使われるなら楚弓楚得だという意見もあった。
- 彼女は個人の手柄に執着せず、チーム全体が成果を得ればよいという楚弓楚得の姿勢を貫いた。
分類
類義語
- 楚弓楚失
- 失之得之