末法濁世
読み方:まっぽう じょくせ
意味
仏法が衰え、人々が正しい教えを実践できなくなり、煩悩・争い・悪行などによって世の中が乱れ汚れている時代や社会をいう仏教語。「末法」は釈迦入滅後、仏法が衰える最後の時代、「濁世」は煩悩などで濁った世を指す。転じて、道徳や秩序が乱れた世を嘆く表現としても用いる。
由来
「末法」と「濁世」を結んだ仏教語である。「末法」は、釈迦の入滅後に正法・像法を経て、教えは残っても修行や悟りが衰えるとする仏教の時代観(三時思想)に基づく。「濁世」は煩悩や争いに満ちた汚れた世をいう。三時思想は中国仏教で整えられ、日本では平安後期、永承7年(1052)を末法の始まりとみなす信仰が広まり、この語も末法思想や浄土信仰の文脈で用いられた。
備考
主に仏教・歴史・文学の文脈で用いる硬い語。現代社会を指す場合は、実際の仏教上の時代区分ではなく、世の乱れを強調する比喩的・批評的表現となることが多い。
補足
- 「末法」を「まつほう」と読まない。標準的な読みは「まっぽう」である。
- 「濁世」はこの語では「じょくせ」と読む。
- 単に「終末の世界」を指す語ではなく、仏法が衰えた時代という仏教上の概念を含む。
例文
- 平安末期の人々は、戦乱や飢饉が相次ぐ世の中を末法濁世と感じ、極楽往生を願った。
- この物語は、末法濁世に生きる人々の不安と救済への願いを描いている。
- 社会の乱れを見て、彼は現代を末法濁世であるかのように嘆いた。
分類
類義語
- 末世
- 末法の世
- 五濁悪世
対義語
- 正法
- 清世