曳尾塗中
読み方:えいび とちゅう
意味
名誉や地位に縛られるよりも、たとえ質素で目立たない暮らしであっても、自由で自然な生き方を選ぶこと。自分の信念や自由を守るために、仕官・出世などを望まない態度をいう。
由来
中国・戦国時代の思想書『荘子』の「秋水」に見える故事に基づく。楚の王が荘子を招いて仕官させようとした際、荘子は、神聖な亀として死後に祭られるより、泥の中で尾を引いて生きる亀でありたいと答えたという。『荘子』はおおむね紀元前3世紀ごろに成立したとされる。原文の「曳尾於塗中(尾を塗中に曳く)」から生じた。
備考
日常会話ではまれで、文章語・教養語として用いられる。単なる怠惰や貧困を指す語ではなく、地位や名誉より自由を選ぶという、荘子的な価値観を表す。
誤用・混同注意
- 「曳尾途中」と書くのは誤り。正しくは「曳尾塗中」で、「塗中」は泥の中の意。
- 「えびとちゅう」と読むのは誤り。通常は「えいびとちゅう」と読む。
例文
- 彼は大企業の役員就任を辞退し、曳尾塗中の生活を選んで地方で研究を続けた。
- 権力に近づくよりも自由な創作を望む彼女の姿勢は、まさに曳尾塗中である。
- 曳尾塗中の志を抱くなら、世間的な名声だけを成功の尺度にしてはならない。
分類
類義語
- 泥亀曳尾
- 隠居遁世
- 超然自適