成所作智
読み方:じょうしょさ ち
意味
仏教、特に唯識で説く五智(または四智)の一つ。人々を救い導くために必要な行為を、状況に応じて誤りなく成し遂げる智慧をいう。通常の感覚的な認識である前五識が転じて得られる智慧とされる。
由来
インド大乗仏教の唯識思想に由来する語で、サンスクリット語の「なすべき行為を成就する智慧」に当たる語の漢訳とされる。4~5世紀ごろに体系化された瑜伽行派(唯識派)の五智・四智の教説が中国へ伝わり、唐代の659年に玄奘訳『成唯識論』などで説かれた。日本には奈良時代以降、法相宗・密教を通じて受容された。
備考
日常会話で使う四字熟語ではなく、主に唯識・密教・仏教美術の文脈で用いる専門語である。五智では不空成就如来と結び付けられることが多い。「智」は単なる知識ではなく、迷いを離れた仏の認識・働きを指す。
誤用・混同注意
- 「成所作知」と書くのは誤り。仏教語としては智慧を表す「智」を用いる。
- 「せいしょさち」と読むのは一般的でなく、標準的には「じょうしょさち」と読む。
例文
- 成所作智とは、衆生を利益する行いを自在に成し遂げる仏の智慧である。
- 五識が清らかに転じると、成所作智が現れると唯識では説明される。
- 講師は五智のうち成所作智を、実践の場で働く智慧として解説した。
分類
類義語
- 事成就智