惻隠之心
読み方
そくいん の こころ
意味
他人の苦しみや不幸を見過ごせず、かわいそうに思って救いたいと感じる心。孟子の思想では、人が生まれながらに持つ「仁」の芽生え・端緒であるとされる。
由来
中国の思想書『孟子』の「公孫丑上」に見える語。孟子(紀元前4世紀ごろ)は、子どもが井戸へ落ちそうな場面を見れば、誰もが思わず助けようとする気持ちを抱くと述べ、「惻隠之心、仁之端也(惻隠の心は仁の端なり)」とした。『孟子』は戦国時代、紀元前4~3世紀ごろに成立したとされる。
分類・構成
備考
現代では「惻隠の心」と「之」をひらがなにして書くことも多い。単なる同情ではなく、他者の苦痛に共感し、救おうとする道徳的な心情をいう。
誤用・混同注意
- 「側隠之心」は誤記で、「惻隠之心」が正しい。
- 単に気が弱いこと・感傷的であることを指す語ではなく、他者への深い哀れみと救済の意志を表す。
例文
- 災害の報道に接し、被災者を支援したいという惻隠之心が湧いた。
- 相手の失敗を責めるだけでなく、惻隠之心をもって事情を聞くべきだ。
- 孟子は、惻隠之心を人間の仁愛の出発点と考えた。
類義語
- 仁愛
- 慈悲の心
- 同情心
- 憐憫の情