性具善悪
読み方:しょうぐ ぜんあく
意味
天台宗の教理で、善と悪は衆生の心性に本来そなわり、悟りを得た仏にも「性悪」として悪が完全に断たれずに具わるとする考え。仏が悪人・悪の世界を理解し救済できる根拠を示す教説であり、仏が実際に悪行をするという意味ではない。
由来
中国・隋代の天台大師智顗(ちぎ、538~597)が説いた一念三千・性具説を背景とする仏教語である。智顗が594年ごろに講じ、弟子の灌頂が整理したとされる「摩訶止観」などの天台教学に、仏にも悪が性として具わるという思想が説かれる。日本では天台宗や日蓮系の教学で重視された。
備考
日常の性格診断や、「人は善か悪か」という性善説・性悪説の議論とは異なる仏教教理である。「悪」は現実の悪行を肯定する意味ではなく、仏が衆生を救うための性として論じられる。
別表記
- 性具善惡
誤用・混同注意
- 読みを「せいぐぜんあく」とするのは誤りで、通常は「しょうぐぜんあく」と読む。
- 性善説と性悪説を単純に折衷した一般的な人間観だと解するのは不正確で、天台宗の仏教教理である。
例文
- 天台教学では、性具善悪の立場から、仏にも性悪が具わると説明する。
- 性具善悪という教理を踏まえることで、仏が悪人をも救済できる理由が論じられる。
- 研究発表では、一念三千の思想と性具善悪との関係を検討した。
分類
類義語
- 性具説