夷蛮戎狄
読み方:い ばん じゅう てき
意味
古代中国で、中原の漢民族が周辺の異民族・諸集団を方角別に呼んだ総称。一般に東方の「夷」、南方の「蛮」、西方の「戎」、北方の「狄」をいう。転じて、野蛮な異民族という侮蔑的な意味で用いられることもある。
由来
中国の儒教経典『礼記』の「王制」に見える、周辺の人々を東・南・西・北の方角に応じて「夷・蛮・戎・狄」とする分類に基づく。『礼記』は戦国時代から前漢・後漢期にかけて成立・編集された文献群であり、この語も古代中国の中華思想を背景とする。これらは実際には多様な集団を一括した外部からの呼称である。
備考
歴史資料を読むための語であり、現代の民族・文化を評価する語として用いるのは不適切である。「蛮夷戎狄」ともいうが、別の語順による類似表現として扱う。
別表記
- 夷蠻戎狄
誤用・混同注意
- 「夷蛮戎敵」と書くのは誤り。正しくは「夷蛮戎狄」。
- 現代の特定民族を指す中立的な名称だと誤解しないこと。歴史的な他者観・侮蔑を含みうる語である。
例文
- 『礼記』には、中国の周辺に住む人々を夷蛮戎狄と総称する記述が見られる。
- 研究発表では、夷蛮戎狄という語を古代中国の中華思想を示す歴史的用語として解説した。
- 現代において特定の民族や地域の人々を夷蛮戎狄と呼ぶことは、侮蔑的になりうるため避けるべきである。
分類
類義語
- 四夷
- 蛮夷戎狄
- 夷狄
- 異民族