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壺中天地

読み方

こちゅう てんち

意味

壺の中に広がる天地のように、狭い場所や限られた世界の中にありながら、俗世から隔絶された別世界・理想郷があること。また、そのような静かで趣のある世界をいう。

由来

中国の歴史書『後漢書』の「方術伝」に見える費長房の故事に由来する。市場で薬を売る老人が、店じまいの後に店先につるした壺の中へ入るのを費長房が目撃し、老人に従って壺内へ入ると、そこには立派な御殿や酒肴のある別世界が広がっていたという。『後漢書』は南朝宋の范曄が5世紀頃に編んだ書で、この故事から「壺の中の天地」、すなわち世間を離れた別天地を表すようになった。

分類・構成

備考

「壺中の天地」ともいう。実際に壺の中が狭いという意味ではなく、限られた空間にある精神的・幻想的な別世界をたとえる、雅語的な表現である。

誤用・混同注意

  • 「壷中天地」と書くのは異体字・略字体による表記で、標準的には「壺中天地」と書く。
  • 単に「壺の中の狭い空間」を指す語と解するのは不正確で、俗世を離れた別世界・理想郷の比喩である。

例文

  • 路地裏の小さな茶室には、都会の喧騒を忘れさせる壺中天地の趣がある。
  • 祖父の書斎は古書と盆栽に囲まれた壺中天地で、訪れるたびに時間を忘れてしまう。
  • 山あいの温泉宿で過ごす数日は、日常から切り離された壺中天地のようだった。

類義語

この四字熟語に使われている漢字