四句分別
読み方:しく ふんべつ
意味
仏教、とくに中観の議論で用いられる思考・分析法。有(ある)、無(ない)、亦有亦無(あるともないともいえる)、非有非無(あるでもなくないでもない)の四つの可能性に分けて検討すること。固定的な見方や二者択一への執着を離れ、事物の実相・空性を考察するために用いられる。
由来
古代インド仏教に見られる四肢分別(サンスクリット語のチャトゥシュコーティ)に由来する。紀元2~3世紀ごろの龍樹(ナーガールジュナ)による中観思想で重要な論法として展開され、『中論』などにその考え方が示される。後に漢訳仏典や中国仏教の注釈を通じて「四句分別」の語とともに日本へ伝わった。
備考
日常会話で使う語ではなく、仏教学・哲学・禅などの文脈で用いる専門語である。「四つに分類する」というだけの一般的な意味ではなく、特定の四つの命題形式を指す。
誤用・混同注意
- 「四苦分別」と書くのは誤り。「四句」は四つの命題・立場を表す。
- 単に物事を四分類する意味だと理解するのは不正確で、有・無・亦有亦無・非有非無という四つの可能性を検討する論法をいう。
例文
- 中観では、存在についての見解を四句分別によって検討し、どの立場への執着も退ける。
- 授業で教師は、「有・無・亦有亦無・非有非無」という四句分別を図で説明した。
- この注釈は四句分別を用いて、問いが前提としている単純な二者択一を問い直している。
分類
類義語
- 四句料簡
- 四句の論理