善巧方便
読み方:ぜんぎょう ほうべん
意味
仏・菩薩が、人々の能力、性格、置かれた状況に応じて、悟りや真理へ導くために用いる、巧みで適切な教え方・手段をいう。「善巧」は巧みで優れていること、「方便」は目的達成のための適切な方法の意。
由来
サンスクリット語の「ウパーヤ・カウシャリヤ(upāya-kauśalya)」、すなわち「巧みな方便」を漢訳した仏教語に由来する。大乗仏教の成立期(おおむね紀元前1世紀から紀元2世紀ごろ)以後に重視された考え方で、中国への仏典漢訳を経て日本へ伝来した。特定の一書だけを典拠とする語ではない。
備考
日常語の「方便」には便宜的な手段や口実という否定的な響きもあるが、仏教語の「善巧方便」は、相手を救済・教化するための慈悲深く適切な方法を指す。
誤用・混同注意
- 「善巧」を「ぜんこう」と読まない。標準的な読みは「ぜんぎょう」。
- 日常語の「方便」のように、単なるごまかしや口実の意味だと誤解しない。
例文
- 教師は学習者の理解度に合わせて説明を変えるという善巧方便を実践した。
- 仏教では、相手を悟りへ導くための善巧方便として、さまざまな教えが説かれる。
- その助言は遠回りに見えたが、本人の自発的な成長を促す善巧方便だった。
分類
類義語
- 方便善巧
- 対機説法
- 随機説法