口耳相伝
読み方:こうじ そうでん
意味
文字や文書に書き残さず、人の口から耳へ、直接言葉で伝え受け継ぐこと。特に、師が弟子に学問・技芸・秘伝などを口頭で伝授することをいう。
由来
中国古典『荀子』の「勧学」にある「小人之学也、入乎耳、出乎口(耳から入り、口から出る)」という、耳で聞き口で語る学びを述べた表現が背景とされる。『荀子』は戦国時代の紀元前3世紀ごろに成立した書物である。「口耳相伝」という四字の形は、その趣旨を踏まえて後世に整い、口頭で伝承する意として定着したとみられる。
備考
「口伝」とほぼ同義。伝統芸能、武道、芸道、民話、地域の知識などの伝承について用いる。書面に残らない伝承であるため、内容に変化が生じることもある。
別表記
- 口耳相傳
誤用・混同注意
- 「口耳相承(くじそうじょう)」は、師から弟子へ口頭で伝えることをいう関連語だが、「口耳相伝」とは別の四字熟語である。
- 「口伝」と同義に近いが、単にうわさが広まることだけを指す語ではなく、知識・技芸などを伝え継ぐ文脈で用いることが多い。
例文
- この地方の昔話は、何世代にもわたって口耳相伝で受け継がれてきた。
- 師匠は演目の細かな所作を、口耳相伝によって弟子に教えた。
- 文書化されていない口耳相伝の知識は、語り手がいなくなると失われるおそれがある。
分類
類義語
- 口伝
- 口承
- 師資相承
対義語
- 文字伝承
- 文書伝達