勧百諷一
読み方
かんひゃく ふういつ
意味
多くの事柄を勧めたりほめたたえたりして読者の関心を引き、その中でわずかに一事だけを遠回しに批判・戒めること。特に漢代の賦のように、壮麗な描写や賛美が大部分を占め、諷刺・諷諫は少ない表現様式をいう。
由来
前漢末の文学者・揚雄(ようゆう、前53年~後18年)が、賦は本来、政治や世の中を諷諫するためのものだが、当時の大賦は華麗な描写や賛美が多く、諷刺はわずかであると論じたことに由来する。「勧百而諷一」の形で『漢書』揚雄伝に見える。『漢書』は後漢の班固らにより1世紀末から2世紀初頭にかけて編纂された。
分類・構成
備考
主に漢文学や文芸批評の文脈で用いる硬い語。「勧」は勧奨・称賛、「諷」は遠回しに批判・戒める意である。単純に「百人を勧め、一人を批判する」という人数の話ではない。
誤用・混同注意
- 「勧百風一」と書くのは標準的な表記ではない。正しくは「勧百諷一」。
- 「百人を勧めて一人を批判する」という人数の意味に限定して解するのは不正確。
例文
- 漢代の大賦は、皇帝や都の繁栄を壮大に描きながら、末尾にわずかな戒めを置く勧百諷一の表現と評される。
- この作品は単なる観光案内のようでいて、開発の行き過ぎを暗に批判する勧百諷一の文章である。
- 権力者を正面から批判しにくい時代には、勧百諷一の手法によって諷諫を行うことがあった。
類義語
- 諷諫
- 寓意諷刺