冒雨剪韭
読み方:ぼうう せんきゅう
意味
雨を冒してニラを切り、客に供すること。転じて、食事が質素であっても、心を尽くして客を温かくもてなすことをいう。
由来
唐代の詩人・杜甫(712~770)の詩「贈衛八処士」にある「夜雨剪春韭、新炊間黄粱」に由来する。これは乾元2年(759年)ごろの作とされ、久方ぶりに会った友人の家で、雨の夜に春ニラを切り、炊きたての食事でもてなされた情景を詠んだもの。この質素ながら真心のこもる歓待が語義となった。
備考
「韭」はニラを表す字。原詩を踏まえた雅語・書き言葉であり、現代の日常会話ではほとんど用いない。豪華さではなく、質素でも誠意あるもてなしをいう。
別表記
- 冒雨剪韮
補足
- 「暴雨剪韭」と書くのは誤り。「冒雨」は「雨を冒す」の意であり、「暴雨(激しい雨)」ではない。
- 単なる雨天での農作業の意味にとどめず、質素でも真心を尽くして客をもてなす比喩義を押さえる必要がある。
例文
- 遠来の友を冒雨剪韭の心で迎え、ありあわせの料理でも心を込めてもてなした。
- 豪華な宴席ではなかったが、主人一家の冒雨剪韭ともいうべき温かな気遣いが身にしみた。
- 旅館は素朴な宿だったが、冒雨剪韭の誠意を感じる接客で、客の評判を集めている。
分類
類義語
- 懸榻留賓
- 掃榻以待
- 倒屣迎賓
対義語
- 冷遇
- 拒人千里