円頓一乗
読み方:えんどん いちじょう
意味
仏教、特に天台宗でいう、すべての人が仏になれるという、完全で最高の教えのこと。「円頓」は、部分的・段階的ではなく、円満な真理をただちに悟らせる教え、「一乗」は仏になるための唯一最高の道をいう。主として『法華経』の教えを指す。
由来
「一乗」は『法華経』に説かれる、衆生を等しく仏果へ導く唯一の教えを意味する語である。中国・隋代(6世紀末~7世紀初め)に天台大師智顗(538~597)が体系化した天台教学では、『法華経』を円満で速やかに悟りへ至らせる「円頓」の教えと位置づけ、「円頓一乗」と称した。日本には天台宗の伝来とともに広まった。
備考
日常会話で用いる語ではなく、天台宗・法華経信仰などに関する仏教学上の専門語である。「一乗」は乗り物そのものではなく、悟りへ導く教え・道のたとえ。
誤用・混同注意
- 「一乗」を「いちじょう」と誤読することがあるが、仏教語としては「いちじょう」と読む。
- 「円頓」の「頓」を「敦」と書くのは誤り。
- 「一乗」を単に「一つの乗り物」の意味と理解せず、仏へ導く唯一の教えを表す語として捉える。
例文
- 天台宗では、法華経の教えを円頓一乗の教えとして重んじる。
- この解説書は、円頓一乗という語を通して天台教学の特色を説明している。
- 僧は、すべての人に成仏の可能性を認める円頓一乗の思想を説いた。
分類
類義語
- 一仏乗
- 円教
- 円頓教
対義語
- 三乗
- 権教