具縛凡夫
読み方:ぐばく ぼんぷ
意味
あらゆる煩悩や迷いの束縛をまだ断ち切れていない、悟りに達していない普通の人をいう仏教語。「具縛」は「ことごとく束縛を具えている」、「凡夫」は悟りを得ていない衆生の意である。とくに浄土教では、自力では迷いを離れがたい人間のあり方を表す語として用いられる。
由来
中国で形成された漢訳仏教・仏教注釈の語で、「具縛の凡夫」ともいう。唐代の浄土教僧・善導(613~681)の著作である観経疏(散善義)に用例があり、7世紀ごろには用いられていたと考えられる。日本には浄土教を通じて伝わり、法然・親鸞らの思想を説明する文脈でも重視された。
備考
日常会話で使う語ではなく、主に仏教思想・浄土教・宗教研究の文脈で用いる。「凡夫」を単に能力の低い人という意味で使う語ではない。
誤用・混同注意
- 「凡夫」を単なる「平凡な人」の意味と解するのは不正確で、仏教では煩悩を断ち切れていない未悟の人を指す。
- 「具縛」は「具体的に縛ること」ではなく、煩悩などの束縛をことごとく具えている意である。
例文
- 浄土教では、人は自力で悟りを開きにくい具縛凡夫であると捉えられる。
- 僧は自らを具縛凡夫と省みて、他者を軽んじないよう戒めた。
- この文章の「具縛凡夫」は、煩悩を完全には断てない私たちを指している。
分類
類義語
- 煩悩具足
- 煩悩具足の凡夫
- 迷える凡夫
対義語
- 解脱者
- 聖者