上兵伐謀
読み方
じょうへい ばつぼう
意味
最も優れた戦い方とは、実際に軍隊を交えて敵を打ち破ることではなく、敵の企て・作戦・意図をあらかじめ見抜いて挫き、戦わずして勝つことである。転じて、競争や交渉でも、武力や正面対決に頼らず、相手の計画を封じる高度な戦略をいう。
由来
中国の兵法書『孫子』の「謀攻篇」にある「上兵伐謀、其次伐交、其次伐兵、其下攻城」に基づく。ここで「上兵」は最上の用兵・戦略、「伐謀」は敵の謀略や計画を打ち破る意である。『孫子』は伝統的には春秋時代の孫武(紀元前6〜5世紀頃)の著作とされるが、現行本の成立は戦国時代(紀元前4〜3世紀頃)とみる説が有力である。
分類・構成
備考
本来は戦争・兵法に関する語で、「謀」は自分の知恵を巡らすことではなく、敵の計画を指す。現代では経営・交渉・安全保障などの比喩にも用いるが、相手を不当に陥れる意味ではない。
誤用・混同注意
- 「上兵伐交」は『孫子』でその次の段階をいう句であり、「上兵伐謀」と混同しない。
- 「上兵伐城」は誤り。「攻城」は原文で最下策として「其下攻城」とされる。
例文
- 経営陣は価格競争を避け、競合の提携計画を先回りして封じる上兵伐謀の戦略を採った。
- 相手の攻撃が始まってから防ぐのでは遅い。上兵伐謀の考え方で、攻撃の動機と手段を事前に断つべきだ。
- 外交では武力衝突を回避しつつ相手の侵攻計画を断念させることが、上兵伐謀の理想とされる。
類義語
- 不戦屈敵
- 謀攻
対義語
- 力攻
- 攻城野戦