三解脱門
読み方:さん げだつもん
意味
仏教で、悟り・涅槃へ入るための三つの観法・道筋をいう。一般に「空解脱門」「無相解脱門」「無願解脱門」の三つを指す。すべてのものに固定した実体がないと観じ、対象の姿や区別への執着を離れ、何かを求め執着する心をなくすことで、苦しみから解放されるとする教え。
由来
古代インド仏教に由来する教理で、サンスクリット語の「三つの解脱への門(trīṇi vimokṣa-mukhāni)」を漢訳した語である。成立時期は厳密には特定できないが、初期仏教から部派仏教・大乗仏教に受け継がれ、漢訳仏典ではおおむね4~5世紀以降に「三解脱門」の形で定着した。『大智度論』などでは、空・無相・無願(無作)を三門として説く。
備考
日常会話で比喩的に使う四字熟語ではなく、主に仏教学・宗教文献で用いられる専門語である。「無願」は単なる無気力ではなく、執着を伴う願望・求めを離れることをいう。
別表記
- 三解脫門
誤用・混同注意
- 「無願」を「無欲」や「何も望まない無気力」と取り違えない。執着的な願求を離れるという教義上の語である。
- 三門は通常「空・無相・無願(無作)」を指し、「空・無我・涅槃」の三つを指す語ではない。
例文
- 仏教哲学の講義では、三解脱門である空・無相・無願の関係を学んだ。
- 執着から自由になる道を考える際、三解脱門の教えは重要な手掛かりとなる。
- この経論は、三解脱門を修することによって涅槃に至ると説いている。
分類
類義語
- 三三昧門
- 三空門