一飯之徳
読み方:いっぱん の とく
意味
一度の食事をごちそうになったという程度の小さな恩でも、忘れずに感謝すべきであるということ。また、そのようなわずかな恩義をいう。特に、受けた恩は大小を問わず報いるべきだという教えとして用いる。
由来
中国前漢の武将・韓信の故事に基づく。『史記』淮陰侯列伝によれば、貧しかった韓信は洗濯をする老婆(漂母)から食事を恵まれ、後に出世してからその恩に報いて千金を与えたという。『史記』は司馬遷が紀元前1世紀ごろ(おおむね前91年ごろまで)に編纂した歴史書である。
備考
「一飯」は一度の食事、「之」は「の」、「徳」は恩恵・恩義を表す。受恩への感謝や報恩の心を述べる、やや文章語的な表現である。
誤用・混同注意
- 「一飯之恩」と混同されることがあるが、「一飯之恩」は別の表現である。
- 「徳」を道徳一般の意味だけに解し、受けた恩義・恩恵の意味を取り違えないようにする。
例文
- 新人時代に親身に指導してくれた先輩への感謝を忘れないのは、一飯之徳を重んじる姿勢だ。
- 彼は一飯之徳を忘れず、学生時代に援助してくれた恩師を長年支え続けた。
- 小さな助けであっても一飯之徳として心に留め、いつか恩返しをしたい。