一音説法
読み方:いっとん せっぽう
意味
仏がただ一つの音声で説法しても、聞く人々はそれぞれの能力・性質(機根)に応じて、自分に理解できる教えとして受け取ること。仏の教えが、あらゆる衆生に分かりやすく届くという不可思議な働きをいう。
由来
中国語訳の仏典『維摩経(維摩詰所説経)』「仏道品」にある「仏以一音演説法、衆生随類各得解(仏は一つの音声で法を説き、衆生は種類に応じて各自理解を得る)」に基づく。現行の代表的な漢訳は、後秦の鳩摩羅什が弘始8年(406年)ごろに訳したものとされる。
備考
仏教語であり、日常会話で比喩的に使われることは多くない。「一つの音を出して説法する」という単純な意味ではなく、聞き手ごとに教えが理解される仏の働きを表す。
誤用・混同注意
- 「いちおんせっぽう」と読むのは一般的ではない。標準的な読みは「いっとんせっぽう」。
- 「一音演説」は出典に見える関連表現であり、「一音説法」の誤字ではないが、同一の四字熟語としては扱わない。
例文
- 『維摩経』では、仏が一音説法を行うため、聞く者はそれぞれにふさわしい教えを理解すると説かれる。
- 一音説法という語は、同じ教えであっても受け手の機根によって理解のされ方が異なることを示している。
- 師の短い法話が多くの参拝者の心に届いた様子を、一音説法にもたとえられる深い説法だったと評した。
分類
類義語
- 一音演説
- 随機説法
- 対機説法