一心法界
読み方:いっしん ほっかい
意味
仏教、特に華厳・天台系の教えで、一つの心と、あらゆる存在・現象を含む宇宙全体(法界)とは本来切り離せない一体のものである、という考え。万物は心と無関係に独立してあるのではなく、一心において成り立つと説く。
由来
中国仏教で発展した教理語。『大乗起信論』にある「一心」と「法界」を結び付ける思想に基づき、華厳宗・天台宗などで用いられた。『大乗起信論』は伝統的にはインドの馬鳴の著作、553年ごろ真諦訳とされるが、成立事情には諸説があり、現存漢訳テキストはおおむね6世紀ごろのものと考えられている。
備考
日常会話で使う四字熟語ではなく、主に仏教教学・宗教哲学の文脈で用いられる専門語である。「一心不乱」のように、単に一つのことへ集中する意味ではない。
誤用・混同注意
- 「一心不乱」と同様に、ただ一つのことへ精神を集中させる意味だと解するのは誤り。
- 「一新法界」などと書き誤らない。「法界」は仏教で、あらゆる存在・現象の全体をいう語。
例文
- 講師は一心法界の思想を通して、自己と世界を切り離して考えない仏教的な見方を説明した。
- 天台教学では、一心法界という見地から、一念の心に広大な世界が具わると説く。
- この絵画は、自然と人間と仏とが一体である一心法界の世界観を表現している。
分類
類義語
- 唯心法界
- 一真法界