一字之師
読み方:いちじ の し
意味
詩文などについて、たとえ一字だけでも的確な教えや添削を受けた相手を、師として敬うべきだということ。また、そのように一字の修正・助言を与えてくれた人をいう。
由来
晩唐(9世紀ごろ)の詩僧・斉己が、詩「早梅」の句「前村深雪裏、昨夜数枝開」を鄭谷に見せたところ、鄭谷は「数枝では早梅らしくない。一枝とすべきだ」と改めたという故事に基づく。斉己はその的確な一字の添削に感服し、鄭谷を「一字之師」と敬った。この逸話は宋代(12世紀ごろ)に編まれた『唐詩紀事』などに伝わる。
備考
「一字だけを教える教師」という意味ではなく、一字の教示であっても恩を感じ、相手を師として敬うという敬師・謙虚の精神を表す。通常は「一字の師」とも書く。
別表記
- 一字の師
誤用・混同注意
- 「一字だけを教える教師」という意味に解するのは誤り。
- 「一字一師」とするのは誤り。
例文
- 論文の題名を一語直してくれた指導教員を、私は一字之師として敬っている。
- わずかな助言で文章が格段に明快になったので、その編集者は私にとって一字之師だ。
- 斉己が鄭谷を一字之師と仰いだ故事は、他人の的確な批評を謙虚に受け入れる姿勢を示している。