民は由らしむべし知らしむべからず
読み方
たみ は よらしむ べし しらしむ べからず意味
為政者は、人民を政策や方針に従わせればよく、その理由や仕組みまで知らせる必要はない、という意。転じて、上に立つ者が都合の悪い情報を隠し、民衆や部下を従わせるだけにする政治・管理のあり方をいう。原典には「従わせることはできるが、理解させるのは難しい」とする解釈もある。由来
中国の古典『論語』泰伯篇の「民可使由之、不可使知之」に由来する。孔子(前551〜前479)の言葉として伝えられ、『論語』自体は孔子の没後、戦国時代ごろ(前5〜前3世紀ごろ)に弟子たちの言行録として編まれたとされる。日本では漢文訓読で「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」と読まれ、後に現在の形でも用いられるようになった。備考
現代では「民衆を無知のまま支配する」という批判的・皮肉な文脈で使われることが多い。原典の解釈には諸説があるため、引用時は注意が必要。例文
- 政府が重要資料をほとんど黒塗りで公開したため、野党は「民は由らしむべし知らしむべからずの発想だ」と批判した。
- 社員に理由を説明せず、ただ命令に従えというだけでは、民は由らしむべし知らしむべからずと同じで組織の信頼を失う。
- その藩では年貢の決定過程を領民に知らせず、民は由らしむべし知らしむべからずを地で行くような支配が行われていた。
- 情報公開が重視される現代社会では、民は由らしむべし知らしむべからずという態度は通用しにくい。
- 市長は住民説明会を開かずに計画を進め、民は由らしむべし知らしむべからずと言わんばかりの姿勢だと非難された。
類義語
- 愚民政策
- 秘密主義
- 情報統制
- 知らしむべからず
対義語
- 情報公開
- 開かれた政治
- 衆知を集める
- 説明責任を果たす