声なきに聴き形なきに視る
読み方
こえ なき に きき かたち なき に みる意味
声に出されていないことを聞き取り、形に現れていないものを見抜くという意味。相手の言葉になる前の気持ちや、表面化していない兆しを深く察して行動することをいう。特に、親の意向をよく察して仕える孝行の心を表す語として用いられる。由来
中国古典『礼記』曲礼上の「聴於無声、視於無形」に由来する。成立は戦国時代から前漢ごろ(紀元前4〜前1世紀ごろ)とされるが、正確な成立年は不明。日本には漢籍の受容とともに伝わり、儒教的な孝養や細やかな配慮を説く表現として用いられた。備考
漢文訓読調の硬い表現で、日常会話より文章・講話向き。儒教的な孝行の文脈で使われることが多いが、現在は配慮や洞察力を表す比喩にも使える。例文
- 祖母のわずかな表情の変化に気づいて布団を掛け直す母は、まさに声なきに聴き形なきに視る人だ。
- 介護の現場では、利用者が訴える前に不調の兆しを察する、声なきに聴き形なきに視る姿勢が求められる。
- 優れた指導者は、部下の不満が大きな問題になる前に気づく。声なきに聴き形なきに視る力があるのだ。
- 父が何も言わなくても疲れていると察し、静かに茶を入れた彼女の振る舞いは、声なきに聴き形なきに視るというにふさわしい。
- 市場の小さな変化を読み取り、まだ形にならない需要を見抜く経営者には、声なきに聴き形なきに視る才覚がある。
類義語
- 一を聞いて十を知る
- 機を見るに敏
- 察しがよい
- 言外の意を汲む
- 空気を読む
対義語
- 言われてから動く
- 見てから信じる
- 鈍感
- 無頓着