逃ぐるも一手
読み方:にぐる も いって
意味
危険な状況や不利な争いに無理に立ち向かわず、退却したりその場を離れたりすることも、有効な方法の一つであるという意味。逃走そのものを勧めるのではなく、損害を避けて態勢を立て直すための賢明な判断をいう。
由来
正確な初出や成立時期は明らかではない。「逃ぐる」は現代語の「逃げる」に当たる古い語形である。この句は江戸後期(18世紀末〜19世紀)に流布した上方いろはかるたの「に」の札として採用され、ことわざとして広く親しまれるようになったとされる。
備考
上方いろはかるたの「に」の札として知られる。「逃ぐる」は古風な言い方で、現代では「逃げるも一手」ともいう。責任逃れを正当化する語ではなく、戦略的な退却をいう。
別表記
- 逃げるも一手
誤用・混同注意
- 単に「困難や責任から無責任に逃げてもよい」という意味に解するのは不正確。危険・不利を見極め、損害を避けるための戦略的な退却を表す。
- 「一手」を「いちて」と読まず、「いって」と読む。
例文
- 相手の条件があまりに不利なので、今回は逃ぐるも一手と考え、交渉をいったん打ち切った。
- 火災現場では勇敢さより安全が優先だ。危険を感じたら、逃ぐるも一手である。
- 無理に競合と価格競争をするより、別の市場へ移るほうがよい。逃ぐるも一手という判断だ。