礼失いて野に求む
読み方:れい うしないて のに もとむ
意味
朝廷や上流社会などで正式な礼儀・儀式・伝統が失われたとき、その本来の姿や痕跡は民間・地方に残っていることがあるため、そこに求めるべきだという意味。転じて、公式の場で失われた文化や知恵を民間の伝承に探すことをいう。
由来
中国の歴史書『漢書』芸文志にある「礼失而求諸野(礼失いて諸野に求む)」に基づく。『漢書』は後漢の班固らによって1〜2世紀ごろに編纂された。古い礼制が朝廷で廃れても、民間にはその遺風が残るという考えを表した言葉で、日本でも漢文の教養を通じて定着した。
備考
「礼」は単なるあいさつや礼儀作法ではなく、儀礼・制度・文化的な規範を指す。「野」は文字どおりの野原ではなく、朝廷・都市部の外にいる民間や地方の意。主に文化・歴史研究の文脈で用いられる。
例文
- 都では消えた古い祭礼の作法が山村に残っていた。まさに礼失いて野に求む、である。
- 研究者は公式文書だけでなく、地域住民の伝承も調べた。礼失いて野に求むという姿勢を大切にしたのだ。
- 失われた食文化を復元するには、地方の家庭に伝わる記憶を訪ねるのがよい。礼失いて野に求むというわけだ。