心に私なければ王法を恐れず
読み方:こころに わたくし なければ おうほうを おそれず
意味
自分の心に私欲や不正、やましい行いがなければ、国家の法や権力者による調査・処罰を恐れる必要はない、という意味。「私」は個人的な所有物ではなく、私心・不正な企て・後ろ暗いところをいう。正しい行いをしていれば、堂々としていられるという教え。
由来
中世の軍記物語『平家物語』に見られる表現とされる。『平家物語』は13世紀ごろに成立し、琵琶法師の語りなどを通じて伝承・整えられた。ここでいう「王法」は、国王・朝廷の法、転じて国家の法や政治権力を指す。「私」は私心や不正な意図のことである。
備考
古風で格調の高い言い回し。現代では「やましいことがなければ怖くない」と言い換えることも多い。尾張いろはかるたの「こ」の札としても知られる。
別表記
- 心に私なければ王法をおそれず
- 心に私がなければ王法を恐れず
誤用・混同注意
- 「王法を恐れず」を、法律を守らなくてもよい、権力に従わなくてよいという意味に解するのは誤り。自らに不正や私心がなければ、法による正当な調査や裁きを恐れる必要はないという意味。
- 「私」を単に『自分のこと』や『私有財産』の意味に取るのは不十分。ここでは私心、不正な利益を求める心、やましい点を指す。
例文
- 経費の記録はすべて残してある。心に私なければ王法を恐れずという気持ちで、監査に臨んだ。
- 彼は不正への関与を否定し、「心に私なければ王法を恐れずです」と述べて、調査への協力を申し出た。
- 公人には、心に私なければ王法を恐れずと言えるよう、日頃から透明性の高い行動を取ることが求められる。
分類
類義語
- 天に恥じず地に恥じず
- 正直の頭に神宿る
- 身に覚えがなければ怖くない