後家の火の用心
読み方:ごけ の ひ の ようじん
意味
夫と死別した女性である後家は、火事を出すと火事の始末や家の立て直しに頼れる男手がなく困るため、ことさらに火の用心をするということ。転じて、頼る人や代わりの者が少ない立場の人ほど、失敗や災難が起きないよう入念に注意するたとえ。
由来
正確な成立時期や初出資料は明らかではない。夫と死別した女性が、火事を起こした場合に家の再建や後始末の助けを得にくいという、近世の生活事情・社会観を背景に生まれた表現とされる。上方いろはかるたの「こ」の札として採られており、遅くとも江戸時代には広く知られていたと考えられる。
備考
「後家」は夫と死別した女性を指す古い語。近世の性別役割や家族観を背景にした表現であり、現代の人物に直接当てはめる際には配慮が必要。
誤用・混同注意
- 「夫が火事で亡くなった後家」を指す言葉ではない。夫と死別した女性が、火事の後始末などで頼れる男手を得にくいという当時の社会観が背景にある。
- 単に火災予防だけをいう語と捉えるのは不十分。現在では、頼る人が少ない者が万一に備えて慎重にするという比喩としても用いる。
例文
- 一人で家を守る祖母は、後家の火の用心というように、寝る前には必ずコンロと火の元を確かめている。
- 人手の少ない店なので、店主は後家の火の用心とばかりに、毎晩戸締まりを二重に確認している。
- 万一のときに頼れる人が少ないのだから、後家の火の用心で、避難経路や非常用品を整えておこう。