庇を貸して母屋を取られる
読み方:ひさし を 貸して 母屋 を 取られる
意味
わずかな場所や便宜を与えただけなのに、相手がつけ込んで、ついには自分の大切なもの・中心となるものまで奪ってしまうこと。小さな譲歩が大きな損失や支配につながることのたとえ。
由来
家の「庇(ひさし)」は母屋から張り出した小さな部分、「母屋(おもや)」は家の中心となる主な建物を指す。庇だけを貸したはずの相手に、ついには家の中心である母屋まで取られるという住居の比喩から生まれた表現である。成立の正確な時期は不明だが、江戸時代に成立・流布した上方いろはかるたの「ひ」の札として知られる。
備考
相手の要求を安易に受け入れると、さらに大きな要求をされて主導権を失う場合に使う。単に親切にして損をした程度ではなく、譲歩につけ込まれるニュアンスが強い。
別表記
- 庇を貸して母家を取られる
- ひさしを貸して母屋を取られる
誤用・混同注意
- 「母屋」は「ははや」ではなく「おもや」と読む。
- 単に家や部屋を実際に貸し出す意味だけではなく、小さな便宜・譲歩を与えた結果、重要な権利や利益まで奪われる比喩である。
- 「庇」は「かばい」ではなく、このことわざでは「ひさし」と読む。
例文
- 取引先に一時的な値引きを認めたら、次々と追加条件を求められた。庇を貸して母屋を取られることにならないよう、契約内容を明確にしよう。
- 空き部屋を少しだけ使わせたのに、いつの間にか共有スペースまで占領されている。まさに庇を貸して母屋を取られる状況だ。
- 善意で会社のアカウントを共同利用させると、権限まで奪われかねない。庇を貸して母屋を取られる前に、利用範囲を限定すべきだ。