僧は三界に家なし
読み方:そうは さんがいに いえなし
意味
出家した僧は、欲界・色界・無色界という一切の世界のどこにも、執着すべき自分の家や居場所を持たないという意味。寺に住んでいても、財産・地位・住居などに心を縛られず、無常の世を遍歴して修行する者であることをいう。
由来
「三界」は仏教の世界観における欲界・色界・無色界を指す語で、古代インド仏教の教えに由来する。日本には仏教伝来(6世紀頃)以後に定着した。「僧は三界に家なし」という定型句そのものの初出や成立年代は明確ではないが、出家者は世俗的な住居や所有への執着を離れるべきだという仏教思想を表した言葉である。江戸時代には江戸いろはかるたの「そ」の札として広く知られるようになった。
備考
「家なし」は単に住む家がない、貧しいという意味ではない。僧侶が寺院に居住することを否定する言葉でもなく、根本的には世俗の所有や安住への執着を離れるという教えである。日常会話では比較的古風な表現。
別表記
- 僧は三界に家無し
誤用・混同注意
- 「三界」を単に『この世・あの世・別世界』などの三つの世界と解するのは不正確。仏教では欲界・色界・無色界を指す。
- 「僧侶には寺や住居が一切あってはならない」という意味に取るのは誤り。住居そのものではなく、そこへの執着を離れる趣旨である。
- 「家なし」をホームレスや貧困の意味だけで用いるのは本来の意味から外れる。
例文
- 師は「僧は三界に家なし」と説き、寺や肩書に執着せず修行しなさいと弟子たちを戒めた。
- 長年住んだ寺を離れる僧侶は、僧は三界に家なしという言葉どおり、静かに次の修行の地へ向かった。
- この言葉は、出家者が住居を持ってはいけないというだけでなく、心のよりどころに執着しないことの大切さを示している。
分類
類義語
- 雲水は四海を家とす
- 一所不住