仏も方便
読み方:ほとけ も ほうべん
意味
仏でさえ、人々を救い正しい道へ導くためには、相手の能力や状況に応じた一時的・便宜的な方法(方便)を用いる、という意味。転じて、よい目的のためには、事情に応じて形式にとらわれない手段を取ることも必要だというたとえ。ただし、不正や悪意あるうそを正当化する意味ではない。
由来
仏教、とくに大乗仏教の「方便」の思想に基づく。方便は、悟りへ導くために仏が衆生の性質・能力に合わせて説法の方法を変えることをいう。紀元1〜2世紀頃までに成立したとされる大乗仏教経典、特に法華経の方便品にその考え方が説かれる。日本で現在の短いことわざとして定着した時期は明確ではない。
備考
本来は仏教における慈悲にもとづく導き方を指す。「目的がよければ、どんなうそや不正も許される」という意味ではない。尾張いろはかるたの「ほ」の札としても知られる。
誤用・混同注意
- 「目的が正しければ、相手をだましたり不正をしたりしてもよい」という意味に解するのは誤り。本来の方便は、相手を救い導くための慈悲にもとづく方法である。
- 「仏も方便」を単に「うそをつく口実」として使うと、本来の仏教的な意味から外れやすい。
例文
- 事情を知らない子どもを不安にさせないため、まずは安心できる説明をした。仏も方便という判断だ。
- 規則を機械的に当てはめず、被災した人には柔軟に対応しよう。仏も方便というではないか。
- 患者に必要な治療を受けてもらうため、医師は難しい言葉を避けて説明した。これも仏も方便の考え方だ。
分類
類義語
対義語
- 正直一路
- 正直は一生の宝