乞食の朝謡
読み方:こじき の あさうたい
意味
生活に困っている者が、暮らし向きに似合わない風流や道楽にふけることのたとえ。乞食が、物乞いをするべき朝から能の謡をうたって遊ぶ、という不釣り合いな姿に基づく。転じて、余裕がないのにぜいたくや遊興をすることをいう。
由来
江戸時代に成立・流布した上方いろはかるたの「こ」の札として知られることわざである。乞食が生活のために働くべき時間に、教養や余裕を要する能の「謡」をうたうという対照から生まれた。個別の初出文献や正確な成立年は明らかでないが、少なくとも江戸時代(17世紀後半以降)の上方文化に定着していたとされる。
備考
「乞食」は現在では差別的・侮蔑的と受け取られやすい語であるため、日常会話での使用は避け、古典的表現の説明や引用にとどめるのが望ましい。
別表記
- 乞食の朝謡い
- 乞食の朝うたい
誤用・混同注意
- 朝早くから勤勉に働く人を指す表現と解するのは誤り。実際には、生活に余裕がない者が分不相応な道楽をすることをいう。
例文
- 生活費にも困っているのに高価な趣味へ散財するのは、乞食の朝謡と言われかねない。
- 会社が赤字続きなのに豪華な記念式典を開くとは、まさに乞食の朝謡だ。
- 祖父は、収入もないのに毎晩遊び歩く孫を見て、「乞食の朝謡になるな」と戒めた。
分類
類義語
- 貧乏人の高楊枝
- 分不相応な道楽
- 身の程知らず
対義語
- 分相応
- 身の丈に合った暮らし
- 質素倹約
対比・対照ことわざ
- 身の丈に合った暮らし
- 足るを知る