一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにて在らん
読み方:ひとつぶの むぎ ちに おちて しなずば ただ ひとつにて あらん
意味
自分を守って変化や犠牲を避けているだけでは、何も生み出せず孤立したままであるというたとえ。麦の種が土中で「死ぬ」ように殻を破り、姿を変えることで多くの実を結ぶことから、自己犠牲、献身、古い自分を捨てる決断が大きな成果につながることを説く。
由来
新約聖書の「ヨハネによる福音書」第12章24節にあるイエスの言葉に由来する。福音書の成立は一般に紀元1世紀末頃とされる。日本語の「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにて在らん」という文語調は、1880年(明治13年)刊行の明治元訳新約聖書の表現として広く知られる。
備考
ヨハネによる福音書12章24節の前半。後半には「もし死なば、多くの果を結ぶべし」と続く。「死」は文字どおりの死ではなく、自己中心性や古いあり方を捨てることの比喩として解されることが多い。
別表記
- 一粒の麦が地に落ちて死ななければ、ただ一粒のままである
- 一粒の麦が地に落ちて死ななければ、一粒のままです
誤用・混同注意
- 文字どおりに死を勧める言葉だと受け取るのは不適切。一般には、献身や自己変革を通じて他者や社会に実りをもたらすという比喩として用いられる。
- この前半だけを「犠牲は無意味だ」という意味にするのは誤り。原文の文脈では、種が死んでこそ多くの実を結ぶという後半と一体の教えである。
例文
- 彼は安定した地位を離れて被災地支援に身を投じた。「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにて在らん」という覚悟だったのだろう。
- 組織が古い慣行を手放さなければ成長できない。一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにて在らん、という言葉を改革の指針にした。
- 卒業式で校長は、他者のために力を尽くす生き方を説き、「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにて在らん」と聖書の言葉を引用した。
分類
類義語
- 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
- 捨て身になってこそ道は開ける